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ロッテお家騒動 韓国の過剰な反応が日本語や国籍に集中する理由

      2015/08/12

韓国

日本では「お口の恋人」としてチューインガムが有名なロッテ。日韓を中心に事業を展開している企業であることはよく知られていますが、ロッテ創業者とその息子たちを中心にお家騒動が繰り広げられています。そして韓国ではこのお家騒動に対し過剰な反応を示しています。非難は特に兄弟の日本語と企業の国籍に集中しているのですが、なぜこれほどの反応を示しているのでしょうか。

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ロッテ お家騒動の発端

ことの発端は、今年1月に日本ロッテホールディングスの副会長を解任された創業者の長男・重光宏之氏(61)が、創業者であり父親である重光武雄氏(92)を連れてロッテ本社にあらわれ、現会長である次男・重光昭夫氏(60)や父・武雄氏以外の役員を全て解任すると発表したこと。これに対し次男・昭夫氏は、解任は株主総会の決議事項であり法的に無効とし、この決定を退けました。そして逆に父・武雄氏を代表権のない名誉会長に追いやりました。

元々、兄弟はロッテの経営を日本と韓国で分業しており、長男・宏之氏が日本のロッテホールディングスを、次男・昭夫氏が韓国ロッテを経営していました。ロッテは日本では、お菓子メーカーとプロ野球が有名ですが、韓国ではホテル、百貨店、テーマパーク、金融など多角的に経営をしています。2014年の売上は日韓で6兆5,000億円にもなりますが、韓国がそのうちの95%をしめ、日本の10倍以上の売上を上げています。

こういった事実だけを見ると、経営手腕の優れた次男が、長男を解任に追いやったように見えますが、今年1月に長男を解任したのは父・武雄氏。解任の理由は、長男・宏之氏が自分に何の報告もなく、韓国ロッテ製菓の株式を買い増ししたことです。日本と韓国に分けて兄弟にうまく事業を継がせていたのに、長男が次男の経営権を奪おうとした行為が父・武雄氏の逆鱗に触れたのです。

それが何故、長男と組んで次男を解任しようとしたのでしょうか。これもまた、次男・昭夫氏が中国での事業が大赤字になっていたことを報告しなかったことが原因です。いずれも、これまで絶対的君主であった自分を無視したことに、武雄氏が激怒した結果の行動だったわけです。長男・宏之氏は、自分が父親を引き連れて本社に乗り込んだのではなく、父が直接次男に解任を告げるのに同行しただけと話しています。

創業者である武雄氏は92歳と高齢で、ロッテグループ内では、既に経営判断が難しいのではとの懸念もあるようです。兄弟2人が報告を怠ったのもこういった背景が関係しているのかもしれません。

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ロッテお家騒動に対する韓国の反応

8月2日、ロッテ創業者・重光武雄氏は、今回のお家騒動について映像を通して韓国の国民に対し謝罪しました。

ロッテグループに関連し、みっともない姿を見せ、心から国民に謝罪する

これに対して韓国の国民からは、多くの批判的な意見が飛び交いました。後継者をもっと早いうちから決めておかなかったことに対する批判、オーナー一族の私利私欲に対する批判などがありますが、批判の中心はロッテの国籍に対するものです。

創業者・武雄氏の謝罪は、「日本の企業のくせに何故韓国の国民に謝罪する必要があるのか」と、韓国国民の感情をよけいに逆撫でしたようです。さらに追い打ちをかけたのが、経営権を争っている兄弟が二人とも韓国語を流暢に話すことができなかったこと。長男は日本語風の韓国語を話し、次男は長男よりも韓国滞在期間が長いためまだ流暢ではあったが、長時間話すと日本語っぽくなっていたようです。

「ロッテは韓国の企業か、日本の企業か」という韓国国民の声に対し、8月3日、次男・昭夫氏は、ロッテの売上高の95%を韓国が占めていることを理由として、韓国企業であると断言しました。韓国企業であると言っているのに、韓国語がまともに喋れなかったことに対し、非難の声がさらに加熱しました。

日本でロッテを創業した武雄氏は、日本人の重光初子さんと結婚しました。日本で生まれた長男・宏之氏と次男・昭夫氏は、小中高と日本の学校で学んだ後、青山学院大学を卒業。その後、長男は主に日本のロッテで働き、次男は日本と韓国のロッテを行き来するようになったそうです。特に長男・宏之氏が韓国語を流暢に喋れないのは仕方のないことですし、仮に経営陣が流暢に韓国語を喋っても、喋れなくても、それは企業の国籍は全く関係のないことです。

しかし、非難は兄弟の国籍にも及んでいます。現在は韓国の国籍を持つ兄弟ですが、2人ともかつては日本国籍を持っていました。そして韓国の兵役義務が免除された後に韓国国籍を取得したようです。兄弟が兵役義務を避けたことに対しても非難が及んでいます。

さらに、ロッテが韓国企業であるとアピールするために、ロッテワールドに韓国の国旗、太極旗を取り付けたことに対し、逆にネット上では、ベトナムのロッテマートに取り付けられた太極旗が破れていると拡散され、非難はより強まりました。また、ロッテが浅田真央を日本のCMに起用し、2011年の世界選手権でも後援していたことに対しても、なぜキム・ヨナではなく浅田真央なのかと非難の声があがっています。

結果、韓国国内ではロッテの不買運動が起こり、韓国ロッテの株価は平均6%程度下落したようです。不買運動は韓国国内だけでなく、日本でも行われ、ロッテは日韓両国から見放されたような形になっています。

 

何故国籍に批判が集中したのか?

ロッテホテルソウル

韓国ロッテグループは、韓国第5位の財閥です。重光武雄氏が日本でチューインガムの事業を成功させたお金をつぎ込み韓国ロッテを急激に成長させました。しかしその成長の裏には韓国政府の後ろ盾がありました。韓国ロッテは、1967年にロッテ製菓を設立した後、1979年にはホテル業と流通業に参入しました。当時の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領は、政府としてできることは全て支援すると言い、ロッテが土地を購入したり、建物を建てやすくするための特恵を与えました(特恵ではなく「押し付け」という話もありますが)。

その結果、巨大財閥へと成長したロッテは、韓国国民の生活にとって非常に身近なものとなっていたはずです。日本のロッテは誰もが知る有名な企業であってもお菓子とプロ野球球団という狭い範囲のものです。しかし、日本の売上の10倍以上もあり、多種多様な事業を展開している韓国のロッテの影響は韓国国民には大きいに違いありません。ロッテは韓国国民に大きな恩恵を与えたのですが、それも韓国政府の力添えがあったからこそだと考える国民も多く、ロッテに裏切られたような図式になっているようです。

ロッテの国籍に批判が集中したのは、ロッテグループが「循環出資」によってグループの所有者が誰であるかをわかりにくくしていたことも原因です。「循環出資」は同じ系列内で株式を持ち合うものです。日本で言う「持ち合い株」に似ていますが、「循環」という言葉通り、まわりまわって自分に戻るという意味が含まれています。

例えば、長男・宏之氏が買い増ししていたロッテ製菓の場合、ロッテ製菓の株をロッテショッピングが所有し、ロッテショッピングの株をロッテアルミニウムが所有、ロッテアルミニウムの株をロッテ製菓が所有するという循環になります。つまり表面的にはロッテ製菓の所有者はロッテショッピングに見えますが、ロッテ製菓が円の中心になっているためロッテ製菓の株を一部所有しているだけで、実質的にはロッテ製菓の所有権があるということになります。

このように「循環出資」の手法を用いて韓国の系列会社の株を循環させ、その系列最上位に位置するロッテホテルの大株主になっているのが、非上場企業である日本のロッテホールディングスだということが明らかになりました。韓国ロッテグループを実質的に支配しているのは日本のロッテホールディングスだということです。事実、持株会社であるロッテホールディングスやL投資会社など日本の系列会社は、韓国のロッテホテルの株を99%保有し、昨年の配当金255億ウォンの内250億ウォンを受け取っています。

韓国ではこのような事実を知らず、ロッテを韓国企業だと思っていた人が多くいたようです。「自分たちの生活に浸透していた大財閥が実は日本企業だった」そして「韓国で稼いだお金を日本に還元しているのだ」ということがわかったため、ロッテの国籍に非難が集中したのです。もちろんロッテのあらゆる面に日本という要素が含まれていることが最大の要因であることは言うまでもありません。

[追記]
8月11日、次男・重光昭夫会長は、系列内の循環出資を80%解消することと、循環出資の最上位に位置するロッテホテルを来年下半期までに韓国株式市場に上場し、日本の系列会社で99%占めている出資割合を大幅に下げると発表しました。

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