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「笑って死ねる病院」金沢・城北病院の経営は成り立つ?同様の病院は?

   

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「笑って死ねる病院」と呼ばれる石川県金沢市の城北病院は患者の最期の願いを叶えてくれる病院。無差別平等の医療・介護を理念に、いつでも誰でもがかかれる病院を目指し、無料診療などを行っています。そんな城北病院ですが、経営はどのように成り立っているのでしょう?また城北病院同様にホスピタリティに満ちた病院は他にあるのでしょうか?

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石川県金沢市「笑って死ねる病院」城北病院とは

医療の現場では、救急患者の受け入れ拒否、たらい回しなど、行き場のない患者がいる一方、病院側も激務に追われ、治療が優先される患者を受け入れるには、患者を拒否したり、移動させざるを得ないという問題があります。

そんな中、「笑って死ねる病院」石川県金沢市の城北病院は、無差別平等の医療・介護を理念に掲げ、24時間365日、誰もがかかれる病院を目指し、差額室料は取らず、生活困窮者には無料診療を行い、また、医師や看護師、他の医療スタッフ一丸となって終末期の患者さんの最後の願いを叶えてあげようと「おでかけ」という取り組みも行っています。

長年会っていない姉と会いたい、行きつけの床屋さんで散髪したい、カラオケに行きたい、病院内だけでは実現できないような願いも1円もとらずに叶えてあげています。『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ)では、余命1ヶ月と宣告された父親が「花嫁と一緒にバージンロードを歩きたい」という願いを叶えようと奔走しています。

城北病院は1949年、貧しい人も医療が受けられるよう、地域の人々が少しずつお金を出して建てた「しろがね診療所」が、後に城北病院となったもの。ベッド数314床、職員数530人の中規模病院です。全スタッフが、黒澤明監督の映画『赤ひげ』に出てくる
赤ひげ先生のように患者に寄り添う病院です。

「笑って死ねる病院」という名は、2008年に放送されたNNNドキュメント『笑って死ねる病院』の番組プロデューサーが命名したものです。放送直後には「楽しく死ねる病院」や「喜んで死ねる病院」と間違えられたことも。当時、ギャラクシー賞奨励賞、日本民間放送連盟賞など多数の賞を受賞し、同名のタイトルで書籍も出版されました。

 

 

城北病院の経営はどのように成り立っているのか

差額室料を取らない、生活困窮者には無料で診療する、ボランティアで終末期の患者さんの願いを叶える。日本の病院の約7割が赤字だと言われる中、城北病院の経営はいったいどのように成り立っているのでしょうか?

差額室料とは、差額ベッド代と呼ばれ、基本的には、希望して個室または2~4人部屋に入院した時にかかる費用で、保険がきかず全額自己負担となる費用です。4人部屋なら1日2~3,000円で、人数が少ない部屋ほど当然高くなります。個室の場合、7~8,000円ぐらいが平均ですが、数万円から数十万円とかなり高価な料金の部屋もあります。平均的な料金でも入院が長引くと100万円を超えることも。にもかかわらず、多くの病院が差額室料を取っていても赤字経営です。

城北病院では、患者さんの最後の願いを叶えるために、医療スタッフはボランティアで動いています。叶えたい願いにもよりますが、付き添っている時間だけじゃなく、準備なども含めると数時間から何日も費やすこともあるでしょう。普通ならこういった時間にも収益を生むことができます。しかしそんなことを考えていてできる活動ではないということです。

当然、診療報酬だけでカバーできないのは想像に難くないこと。病院の理念を貫くために、まずは徹底した経費削減の努力がされています。医院長をはじめ他の医師たちは、他の病院の医師たちのように豊かな生活ぶりではありません。ボロボロの院長室に自転車通勤、質素な食事など、番組では貧乏臭すぎてカットされたシーンもあったようです。医師や医療スタッフは、勤務時間外や休日の時間でもかまわずにボランティアに取り組みます。

もちろんこのような徹底した経費削減があっても不十分です。もともと地域住民がお金を出し合って設立した病院には、その仕組がまだ残っています。城北病院は「金沢北健康友の会」という協同基金の支援によって経営を維持しています。「金沢北健康友の会」は、一口1,000円の出資で会員となり、患者目線で病院の不備を改善する「病院探検隊」という仕組みも設けられています。病院経営は、城北病院の理念に賛同する多くの人々によって支えられているのです。

ただ、これまで、できるだけ患者さんのためにと節約をしてきたため、病院の老朽化は顕著となっています。患者さんに終末期を笑って過ごしてもらうには相応しくないと、現在は「新病院建設」の寄付を募っています。

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城北病院のように患者に寄り添う病院は他にある?

城北病院は、全日本民主医療機関連合会、いわゆる民医連に加盟しています。民医連とは、医療に恵まれない貧しい人たちも平等に医療を受けられるようにと、各地に作られた民主的な医療機関が集まった連合会です。

1953年に結成された民医連に加盟している医療機関は現在、全国47都道府県に1700ヶ所以上あります。民医連に加盟している医療機関は、城北病院同様、差額室料は取らず、地域の福祉・介護活動にも積極的に参加しています。程度の違いはあっても同じ理念をもった病院ですので、近くの民医連加盟の医療機関でも患者に寄り添った医療を受けられるでしょう。

民医連 無料・低額診療にとりくんでいる事業所

 

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